今年、早稲田大学大学院人間科学研究科に入学後、受講した科目のなかに「移民研究特論」というものがありました。これは海外に出て行った日本人移民、最近多い海外から日本への移住者なども含めた移民全体のことについて、毎週、移民関連の論文(英文含む)を読んではディスカッションするものでした。
最終課題は、文献調査やフィールドワークによって、移民に関連した小論文をまとめるものでしたが、こちらは、「初めてインディ500マイルレースを走った日系二世タケオ・ヒラシマ」を取りあげ、彼のライフヒストリーをまとめました。
※タケオ・ヒラシマに関するニュース
Mittman, D. 2003 Mechanic Hirashima Was Indy Fixture For 30 Years, IndyCar.Com,April 3, 2003.
http://www.indycar.com/news/?story_id=1104
その過程で、彼が『宮武東洋の覗いた時代』の主人公・宮武東洋(写真家)と同じ収容所に入れられており、第442部隊に付随する第522野砲連隊に所属していたことを知りました。以前から442部隊には関心を持っていましたが、課題の資料として、あらためて読んだ本の一部を紹介させていただきます。
■アメリカ陸軍第442部隊関連、日系人収容所関連で読んだ本など(順不同)
○北川台輔(著) 伊達安子(訳) 1986『一世と二世 : 強制収容所の日々』聖公会出版。
『宮武東洋が覗いた時代』でも証言があるが、働き詰めだった移民一世の女性たちにとって、収容所の生活は、初めて彼女たちに与えられた「休暇」でもあった。この本によれば、余暇のできた女性たちは習い事など色んなことを学び、女性の権利獲得に目覚めていったらしい。反対に暇を持て余した男たちは、酒や博奕に溺れたという。
○メアリー・ツカモト&エリザベス・ピンカートン(著) 宇久眞雄ほか(訳) 2001『アメリカを動かした日系女性 : 第二次世界大戦中の強制収容と日系人のたたかい』琉球新報社。
○猿谷要・篠輝久(解説) The Holocaust Oral History Project & The Unlikely Liberators Project(編) 1995『意外な解放者』情報センター出版局。
第二次大戦末期、ドイツ国内のダッハウ強制収容所を解放したのは、アメリカの日系人収容所から来た男たち(442部隊付属の第522野砲大隊)だった。
○渡辺正浩 2009『ゴー・フォー・ブローク!――日系二世兵士たちの戦場』光人社NF文庫。
著者は『宮武東洋が覗いた時代』にも出演されていました。442部隊の生き残りの人たちが、かつて自分たちが戦ったイタリアやフランスの戦地を巡る旅に同行した紀行記に、当時の記録を重ねている。
○マイク正岡・ビル細川 (著) 塩谷 紘 (翻訳) 1988 『モーゼと呼ばれた男 マイク・正岡―アメリカの日系人受難の時代が生んだ偉大な大衆指導者の半生』 TBSブリタニカ。
一世、二世の立場に応じて、収容所時代のマイク正岡に関する評価は、さまざまだったようです。
○矢野徹 2005 『442』柏艪舎
矢野さん(SF作家、翻訳家。『カムイの剣』の作者)が亡くなられた後に出た復刻版です。1953年、貨物船でアメリカに渡った著者が、ロングビーチの酒場でテキサス出身の男にジャップと呼ばれ、絡まれたとき、同行のアメリカ人が、「彼は442部隊の出身だ」と言ったところ相手の態度がガラリと変わった――という体験がベースになって、その後、442部隊の生き残りを訪ねて歩いたとのこと。
○坂本きじゆ・木村毅 1949 『第四四二部隊 : アメリカの二世殊勲物語』旺文社
たぶん日本で一番古い日系二世部隊を扱った本。敗戦でうちひしがれる日本国民を元気づけられるのではないかと、442部隊出身者が九州の母の郷里に帰省していることを知った著者がインタビューしたもの。
○真保裕一 2009 『栄光なき凱旋』文春文庫(全3巻)
442部隊ではなく太平洋戦線で日本兵と戦った日系二世たちの苦悩を描くフィクションです。真保さんらしく緻密な取材に基づいた読み応えのある作品です(まだ1巻までしか進んでいませんが)。
○望月三起也 『二世部隊物語―最前線』(白泉社文庫など)
マンガです。中学生くらいのとき、このマンガで二世部隊の存在を知りました。内容は1951年製作のハリウッド映画『Go For Broke!』のような感じです。
ほかにもたくさんありますが(早稲田大学の中央図書館には、移民関連の書籍が2000冊近くあります)、時間がないので、このくらいにさせていただきます。